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(ネタバレ)世界の片隅こそ、その人の生きる世界の中心である

11月12日(土)全国公開 劇場用長編アニメ「この世界の片隅に」公式サイト

 

昨日、「この世界の片隅に」が公開されましたので、

本日立川まで観に行ってきました。

色々というほどでもないけど、

観て思ったこと感じたことなどを書いておこうと思います。

 

ネタバレ成分を含むので、

ご覧になってない方はブラウザそっ閉じでお願いします。

 

 

 

作品の舞台は終戦間際の広島・呉市

のんこと能年玲奈演じる主人公・すずが広島から呉へ嫁ぎ、

そこで戦争の真っ只中にある"日常"を過ごしていく様を描いている。

 

それこそ太平洋戦争中の民間人を描いた作品は山ほど制作されているわけだが、

ある点でこの作品は他作品と一線を画している。

「『世界』を描かないと『片隅』が見えてこない」、映画「この世界の片隅に」片渕須直監督インタビュー - GIGAZINE

詳しくはこちらのインタビューに譲るが、

戦時中の日本人の日常風景を、極限まで突き詰めているのである。

 

個人的に印象的だったのは、

食糧配給が少しずつ減っていく中、すずが様々な知恵と工夫で様々な献立を仕立てあげていき、

なおかつそれを食した時の家族の表情が「リアル」なのであるところだ。

特に米を何倍にも膨らませてから食い、その不味さを表現できている。

勿論私は戦争当時には生まれていないから本当のところは分からないが、

ああ、こんな感じだったんだろうなぁって素直に受け取ってしまえるのだ。

 

そして世界設定は戦時中であるものの、

日常世界をとてもコミカルに描いている点も、一線を画しているポイントだと思う。

対空砲火の破片であわや円太郎が死んだ!かと思ったら

ただの夜勤明けで疲れて眠りこんでしまったシーンは、劇場が笑いに包まれていた。

そういうシーンがたくさんあるのである。

北条家から憲兵が去った際のシーンなど爆笑である。

 

とにもかくにもこの作品は、

1年のロングランを果たしたガールズアンドパンツァーや、

200億に迫りつつある君の名は。と同様にみんなに勧めたい作品であることは間違いない。

公開されてまだ2日であるが、今後も続くようであれば2度3度観たいのだ。

 

以下、少し考察など。

 

一体いつどこで習作がすずを見初めたのかというのは、

ラストシーンの橋の上で語られていた。

すずが化け物に攫われた際、あの籠の中にいた少年が習作だったのだろう。

結局化け物の正体(と、ワニ)は最後まで分からなかったが、

誰かが考察をしてくれるだろう。

 

すずの一家が祖母の家に遊びに行った際に出会った座敷童であるが、

スイカに執着していたところから、遊郭ですずが出会った白木リンじゃないかなと思います。

そしてラストシーン、すずと習作の前に現れた戦争孤児の正体はリンの娘ではないかとも思います。

つまり、原爆投下直後の広島を少女を連れて歩いていた女性がリンだったのではないか。

 

EDアニメーションも白木リンの生涯だったのではとも受け取れました。

天井裏から居間で昼寝をしている少年少女を見ているのはリンで、

すず達が帰宅した後に祖母からスイカを貰ったのだろうと推測される。

 

その後色々あって遊郭で働く中である男性に見初められ、娘を授かったのかなぁと推測しています。

その少女が戦災孤児としてすずの元に現れたのは、すさまじく運命的だなぁと。

このことを、すずが知ることになるかは分かりませんが・・・

 

最後に、あのキャラメルのパッケージはドキっとしましたね。

あ、そこまでリアルに描くのかと。